天才子役から声優への挑戦、そして“SNSとの向き合い方”まで。小林星蘭に聞く、芸能生活のこれまでとこれから

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 今回のテアトルロードでは、テアトルアカデミー所属の女優・声優、小林星蘭さんへのインタビューをお届けします。

 小林さんは2009年にカルピスのCMで話題になって以降、天才子役として活躍の場を広げ、現在は声優としても活躍中。直近では、ちょっと変わった(?)SNSでの発信でも話題を集めた小林さんですが、現在はまだ学校に通う16歳の高校2年生です。

 今回の取材では子役時代のこと、声優への挑戦からSNSとの向き合い方まで、10代ならではの視点でのお話をたくさん伺いました。

小林星蘭(こばやし・せいらん)

2004年生まれ。2009年に当時4歳でカルピスのCMに長澤まさみとともに出演。同年にはドラマ『サマヨイザクラ』(フジテレビ系)でテレビドラマ初出演を果たし、2010年には映画『君が踊る、夏』で映画初出演。2018年からは声優としてアニメ『若おかみは小学生!』で主役の「おっこ」の声を演じ、現在放映中の『僕のヒーローアカデミア』ではメインキャラクターの一人「壊理」役で活躍中。

テアトル入学前に「レッスンが受けられない悔しさで号泣」!?

小林さんは4歳のときに「カルピス」のCMに出演して、すごく話題になりましたよね。そもそもテアトルに入ったきっかけはどんなことだったんですか?

3歳のときに『崖の上のポニョ』がすごく好きになって、主題歌を歌う大橋のぞみさんに憧れていたんです。それで「大橋のぞみちゃんみたいに歌いたい!」って言っていたら、母が雑誌に載っていたテアトルアカデミーのオーディションの募集を見つけてきて「やってみる?」と言ってくれたんです。
母は「他にも習い事はいろいろあるし、テアトルはレッスンが大変らしいけど大丈夫?」と言っていたらしいんです。でも当時の私は「それでもやりたい!」と譲らなかったらしくて。
入学前に一度テアトルのレッスンを見学に行ったとき、私は自分が教室に入ってレッスンを受けられないのが悔しくてその場でビヨビヨ泣いちゃったらしいんです。

幼少期の記憶を思い出しながら話してくれる小林さん。しかし「三つ子の魂百まで」というべきか、最初からやる気がすごいです。

めちゃくちゃモチベーションが高い(笑)。入学時のオーディションは、さすがに覚えていないですか?

覚えてないですね(笑)。テアトルに入って何年かしてから、小さい子のオーディションの様子を見て、カメラに向かってぬいぐるみとかにリアクションしていて、「こういうことやってたんだ!」というのをそのとき理解しました。

その後、カルピスのCMに出演したきっかけは何だったんでしょう?

簡単な幼児向けレッスンを受けていて、そのうちに何のCMなのかもわからないままオーディションを受けたら運良く受かったんです。
右も左も分からない状態でしたけど、現場に行ってみたらなんとセリフがあって、みたいな感じだったと思います。

なるほどですね。カルピスのCMのあと、周りからの反響は覚えてますか?

CM自体がかなり流れていたので、周囲から「CM見たよ」と言われることも多かったです。あとは大きな駅ビルに長澤まさみさんと私が写った広告が出ていて、それで「おかっぱのあの子」というイメージが世間にも認知されたのかな、と思います。

小学生にして有名人……子役時代の生活について

テアトルに入学して受けたレッスンはどういうものだったんですか?

定番ですけど「外郎売」といって、「拙者親方と申すは……」で始まるセリフを早口言葉で喋る練習をやったり、パッと台本渡されて「1分で覚えてやってみて」というレッスンをやったりしていました。
先生方はいい意味ですごく厳しい方ばかりで、友達が褒められて自分がダメ出しされるとすごく悔しくて。
私、すごい負けず嫌いなので「どうしたら勝てるかな」ってずっと考えてました(笑)。

小林さんが負けず嫌いな感じは、今お話を伺っていてもすごく伝わってきます(笑)。
当時はレッスンを受けつつオーディションを受けに行く、という生活だったんですか?

家から都心にあるテアトルまで片道1時間半ぐらいかけて通って、平日の決まった曜日にレッスンを1〜2回受けて、オーディションは土日、という感じでした。
ありがたいことにお仕事はたくさんいただけていたので、レッスンはそんなに多く受けられなかったんですが、自分にとってはお仕事が一番好きだったので、そのほうが楽しかったかのかな。

少しきわどいところを聞いてしまうと、小林さんのように小さい頃から芸能活動をしていて、小学校生活ってちゃんと平和だったんですか?
もしかしたら、周囲からいろいろ言われたりとかがあったりするんじゃないか……と思ってしまうんですけど。

私に関しては全然そんなことはなかったですね。
小学校入学以前から近所で知れ渡ってしまっていて、小学校も中学校も同学年の子はみんな知っているので、「テレビで見たよ〜」って言ってくれたりするぐらいで。ただ、上の学年の先輩たちとかだと教室に覗きに来てる人がチラホラいたりはしましたけど……(笑)。
学校はやっぱり撮影が平日のお昼にあると早退しないといけなくて、そういうときは友達や先生にあとで内容を教えてもらったりとか、すごく助けてもらえました。小中ずっとそうでしたね。

小学校・中学校では、周囲の方々に助けられる場面が多かったそうです。

有名子役はやっかまれるというイメージにすっかり支配されていましたが(笑)、小林さんの場合は全然そんなことはなかったんですね。
ちなみに子役として売れっ子になったときに気をつけるべきことって、小林さんの経験から何か言えたりしますか?

友達から「この前テレビ見たよ!」と言われると、私はつい嬉しくていろいろ話したくなっちゃうんですよ、まだ言っちゃいけないようなことも。

あー、「情報解禁日をちゃんと守らないと」ってやつですね。

スタッフさんやマネージャーさんから「これはまだ内緒だからね」と釘をさされるので、それはホントに気をつけなきゃと思いました。あとは、いくらテレビに出たりしていても「謙虚さを忘れるな」というのはいつも肝に銘じていました。

めちゃくちゃ大事ですね……。小林さんはもう10年以上と芸歴が長いですけど、小学生の頃に特に勉強になったり、印象に残っている現場はありますか?

すごく心に残っているのは、『名前をなくした女神(※1)』というドラマに出演したときに出会った樹下直美監督に言われた、「引き出しをたくさん持ちなさい」ということです。

『名前をなくした女神』(画像はAmazonより)

※1 『名前をなくした女神』:2011年放映、フジテレビ系列。子どもの小学校受験を控えたママ友達の間で繰り広げられる、嫉妬、見栄、嘘、裏切り、騙し合いなど、複雑な人間関係を描いた社会派ドラマ。母親役で尾野真千子、倉科カナ、りょう、木村佳乃、子ども役で小林星蘭、谷花音らが出演した。

引き出し、ですか。

たとえば「こんにちは」というセリフでも、その前のシーンから考えて、あんまりいい気分ではないときなのか、すごく元気に「こんにちは!」と言うのか……。
同じセリフでも状況によって言い方が全然違いますよね。樹下監督からは、「どんなシチュエーションなのかいろいろ想像しておきなさい」って言われたんです。

なるほど。台本をもらったらそれを読んで解釈するけれど、解釈を一個に決めないで何個かパターンを持っておく、ということですか?

そうです。たとえば子役の場合だと、事前にお母さんと一緒に練習してガッチリ固めてからオーディションに行ったりすると思うんですが、それだと実際のオーディションで「もうちょっと違う、こういうふうにやってほしいんだけど」と言われたときに、対応できなくなっちゃいますよね。
ドラマでも声優のお仕事でもそうなんですが、まずは自分のなかで引き出しを考える。それにプラスして、誰か他の人、家族とかに台本を見せて解釈を話して、意見を聞いたりするんです。
私も家では今でも、自分の解釈をやってみて母に見てもらって、議論したりをやってます。
いろんな解釈のパターンを練習しておくと、現場でも臨機応変に対応できるようになってくると思います。

2018年、『若おかみは小学生!』で主役を掴んだ

今の小林さんは声優のお仕事が多くなってきていると思います。なんといっても2018年、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、第22回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞などを受賞した『若おかみは小学生!(※2)』で、声優ほぼ初挑戦で主役の「おっこ」を演じて高い評価を得ましたよね。現在は『僕のヒーローアカデミア』(日本テレビ系)でメインキャラクターの一人「壊理(えり)」の声も演じられていますが、そもそも小林さんのなかで、どこかのタイミングで「声優をやってみたい」と思った時期があったんですか?

もともと小さい頃から「プリキュア」や「アイカツ!」は好きだったんですが、小学校5年生ぐらいのときに『ラブライブ!』にハマったんです。『ラブライブ!』では声優さんがライブをやって、実際に役のセリフを言ったりもしていて、そこで「声優さんってすごい!」と思って。それからマネージャーさんに「声のお仕事もやってみたい」と伝えていて、12歳のときに『若おかみは小学生!』のオーディションを受けました。

『若おかみは小学生!』(画像はAmazonより)

※2 『若おかみは小学生!』:令丈ヒロ子原作の大ヒット児童文学シリーズで、2018年にテレビ東京系列でアニメ化、同年に劇場版も公開された。両親を事故で亡くした小学6年生の少女・関織子(おっこ)が、祖母が女将を務める温泉旅館に移り住み、奮闘する姿を描く。小林星蘭が主役のおっこの声を演じ、ライバル(?)の秋野真月を水樹奈々が演じた。

でも、小林さんはそれまで声のお仕事もあまり経験がないなかで、いきなり主役に抜擢だったわけですよね。オーディションはどんな流れだったんでしょう?

私は原作の大ファンだったのでぜひやりたいと思っていて、最初にボイスサンプルを送ったら通って、スタジオでのオーディションに進むことになりました。
場所はいわゆるアニメのアフレコをする録音スタジオだったんですけど、私も知っている有名声優さんたちがたくさんいて「!!」となりました(笑)。
主要キャラの一人である「ウリ坊」の役の松田颯水(まつだ・さつみ)さんがすでに決まっていて、松田さんと掛け合いでしゃべる、というオーディションでした。

それまで実写のドラマや映画のオーディションが多かったと思うのですが、俳優と声優のオーディションの違いにはどんなものがあるんですか?

ドラマの場合はスタッフさんを前にしてやるので、自分の演技にどういうリアクションがあるのかが見えて、「ちょっと違うかな?」「もうちょっとこうした方がいいかな」ということを考えられるんです。
でもアニメだと、声優が演技する録音ブースと、監督やスタッフさんが聞くブースがガラス越しに分かれていて、リアクションが見えないので「これで大丈夫かな⁉︎」と不安になるという……。

なるほど、リアクションが全然見えない(笑)。

そのあとアニメのアフレコ現場に本格的に入っていったんですけど、自分のセリフ読んだあとに何も言われずに「ちょっと待っててね」って言われて、1、2分ぐらい無言のまま待つ時間があってそれも怖いんです(笑)。
何がダメだったんだろう!?」「なんで話し合いをしてるんだろう!?」って……。
そのまま無言で1,2分経ったあとに「ちょっともう1回やってみようか」というだけで再開するときがあるので、もう「なんだろーー!?」ってなっちゃう。

アニメのアフレコ現場では、独特の難しさがあるんですね……!

たしかに映画やドラマの撮影だったら、監督が「はいカーット! そこはそうじゃなくて……」みたいにすぐに言ってくれるイメージがありますけど、アニメはちょっと違うんですね。

でも逆にアニメの経験で、自分の演技をより客観的に「今のは合っていたかな?」と考えるようには、なったかもしれないです。

なるほど。ちなみに小林さんが『若おかみは小学生!』の主役を取れた理由って、ご自身で思い当たることってありますか?

やっぱり原作の大ファンで本をすごく読み込んでいたのはあると思うんですが、あとで監督から言われたのは、オーディションのときに「もうちょっとこうしてみてほしい」と言われたのを臨機応変に対応してくれたというのと、主人公のおっこちゃんと年齢が同じ12歳で、よりリアルに感じられたから、だそうです。
でも、スタッフのあいだでは「経験のある声優さんのほうがいいのでは」「いや、リアルな年代の声のほうがいい」と、すごく議論になっていたそうです。

へぇ、そうだったんですね! でも、たしかに『若おかみは小学生!』では、水樹奈々さんをはじめベテランの方々も小学生の役を演じてらっしゃいますし、その判断はなかなか難しいのかも。

だから私、オーディションを受けてからすごい長い時間、結果を待ってたんですよ。仕事でマネージャーさんに会うたびに毎回「『若おかみ』の結果、まだ来てない?」って聞いて、すっごいソワソワしていて(笑)。

それはソワソワせざるをえないですね(笑)。実は『若おかみ』で気になったのが、おっこちゃんと、水樹奈々さんが声を演じる真月ちゃんが激しく掛け合いをするシーンがあるじゃないですか。
でも冷静に考えると、当時中学生の小林さんが、声優界のレジェンド中のレジェンドである水樹さんとあんなに激しく口喧嘩できるというのは、一体どういうことなんだろう……!? と。

あのときは「おっこと真月さんとして対等に喋っている」というシーンなので、「水樹さんだから」って考えないようにしていました(笑)。でも水樹さんは本当に素晴らしい声優さんで、そのまま真月さんの喋り方で来るので、自分もそれに合わせてついていく、という感じでした。

なるほど、水樹さんのスキルに助けられたところも大きかったんですね。

はい、水樹さんは本当にすごい方ですし、学ぶところがたくさんありました。私は全然声優さんをやったことなかったから、水樹さんと長い時間一緒にいて、「こういうことしてるんだ」というのを横で意識して気づくようになってから、自分もそれに合わせていくようになったり。

声優界のレジェンド、水樹奈々さんとのエピソード。本当は小林さんのすごさを引き出したいという意図での質問でしたが、「水樹さんが素朴にレジェンド」という方向性のお話になっていきました。

水樹さんのそばにいて、無意識的にも意識的にも、所作だったり雰囲気だったりを学んでいたんですね。

そうかもしれません。私、最初は自分のセリフを読むのですごい必死だったんですけど、あるとき自分が喋ってない場面でふと横を見たら、水樹さんや他の声優の方たちが、自分以外の役の方と掛け合いしてるときに、実際にその声優さんをチラッと目線だけでも見て喋ったりしていたんです。
それをやると、たしかに実際の距離感がなんとなく出るようになったりします。そういう部分は、すごく学べるところが多かったです。

ドラマ・映画とアニメでの役作りはどう違う?

テアトルでも「声の仕事をやってみたい」という希望を持つ在籍生が増えてきているので、声優のお仕事についても伺えればと思うんです。
そもそもの話になっちゃうんですが、アニメのアフレコ現場って、絵が大体できた状態で声を入れているんですか?

いえ、そんなことはないですね。テレビシリーズだと序盤は絵までできあがっていることはありますけど、2話、3話と話数を重ねていくにつれて、だんだん絵がラフな状態になってきたり……。

アニメの制作体制は、いつも大変だと聞きますもんね。

そうですよね。だいたい1週間前とか、ギリギリだと3日前、2日前にDVDでアフレコの時に使う映像をいただくんですが、線で描いたマルにニコちゃんマークでキャラクターの名前が書いてあることもあったりしました。
どういう表情かわからないときは、台本と照らし合わせて解釈したりします。

アニメの「アフレコ」って「アフター・レコーディング」の略だから、絵ができた状態で声を入れていくのかとばっかり思っていました。ふだん小林さんが声優のお仕事をされている現場では、あまり絵ができてない状態で声を入れる場合が多いんですか?

みなさんがテレビで見る絵のままっていうことはほとんどないです。
ただ、声を演じる側としては、むしろできあがっている絵に合わせるほうが難しいところもあるんです。

絵のキャラクターの口の動きに合わせたりとかは、難しそうです。

そうなんです。絵ができあがっていない状態だと「ボード」といって役の名前だけが自分が喋っている間に出ていて、喋り終わったタイミングでパッて消えます。ボードがあったほうがわかりやすいと思う部分もあります。
アニメのアフレコは、声優さんたちがみなさん同じタイミングでスタジオに来て、一斉に録るということが多いです。でも、その日に合わせることが難しい方もいて、その場合は事前に録ったその方の声だけ入っている、ということもあります。

なるほどです。そして気になるのが、実写のドラマ・映画と、アニメで声の演技をすることの違いについて聞きたいなと思いまして。

一番違うのは、驚いたとき、怒ったとき、走ってるときの声をちゃんと入れないといけない、という部分だと思います。
ドラマだったら自分の顔が写っていて身体も写っているので「あ、走ってるんだな」ということがわかりますけど、アニメの場合は自分の身体はマイクの前に立ったまま、走っている絵に合わせて、走っている呼吸をしたりしないといけないですね。
そういう一つひとつの動作を細かく見ていくというのは、一番の違いかなと思ってます。

『若おかみは小学生!』で言えば、おっこが雑巾掛けをするシーンなんかもありましたよね。

そうなんです。雑巾掛けしてるときに「ほっ」とか「よっ」とか、現実ではあんまり言わないじゃないですか。

それはたしかに、なかなか言う人は少なそうです……。

たしかに、あんまり大人は言わないですね。そういうセリフを言っていたら、楽しい感じの人になれそうだとは思いますけど(笑)。
あとアニメの声の演技って、一般的なイメージだとちょっとオーバーな、日常生活ではあんまり出さない、いわゆる「キャラクター」的な声も出さないといけないのかなと思うんですけど。

それはそうですね。ただ私の場合はもともと地声が高くて……でも考えてみると、アフレコのときはそれよりも断然高い声で喋ってますね。意識してやっているときもありますけど、本当に無意識でそうなっているときもあります。

その感覚はちょっと面白いですが、どういうことなんでしょう?

『若おかみは小学生!』のときだと、最初は当時の地声に近い状態だったと思います。ただ、1年ぐらいかけて録っていったので、どんどん自分の地声が低くなっていったんですよ。

そういえば、歌唱指導の亀田増美先生にお話を伺ったときに、亀田先生は「女子にも声変わりがある」「その乗り越え方が難しい」ということをおっしゃっていました。(「声変わり」はハミングで乗り越えられる? 亀田増美先生に聞く、“声のレンジを広げる”歌唱法【動画あり】

そうですね、自分の声が変わるのに合わせてというのもありましたし、やっていくうちに技術が成長して、はっきりと高く喋れるようになっていったかなと思います。
2019年に『映画おしりたんてい テントウムシいせきの なぞ』という作品で、パンタンというパンダの子の役をやったんです。
そのときは地声からかなり離れた高い声で、「パンタンはねー(実演)」「そんなことないよぉ(実演)」みたいな感じで、みんなに「かわいい」って言ってもらえるようにしなきゃ、というのは意識してやっていました。パンタンは本当にかわいいキャラクターなので。

取材時、パンタンを実演してくれた小林さん。映像で伝えられないのが惜しい……!
『映画おしりたんてい テントウムシいせきの なぞ』で小林さんが声を演じたパンタンの様子は、この動画でも見ることができます。

それは「実写」と「アニメ」の違いというよりも、やっぱり役の解釈が大事、ということなんですね。

そうだと思います。ドラマや映画だと自分の顔と身体の状態で出るので、そこまで「自分」から離れすぎなくてもいいんですけど、アニメはもっと違う誰かになりますし、それこそパンダのときもあったりと、人間じゃない可能性もあるので。

そうですよね、人間じゃない可能性もありますね(笑)。

はい。だから「どれだけキャラクターの見た目や特性に合う声に持っていけるかな」ということを考えて、やっているところですね。

SNSとどう向き合ったらいい?

あと今日、小林さんに聞いてみたかったのは、SNSでの発信についてなんです。
今までテアトルの方たちに取材してきて、特に子ども・若者世代には「SNSもがんばらなきゃいけないんじゃないか」という意識を感じるんです。
小林さんはSNSでも積極的に発信されていますけど、たとえば10代前半ぐらいの子たちに何かアドバイスできそうなことがあるとしたら、どんなことでしょう?

うーん、結局は自分がどうしたいかが大事なので、「芸能の世界に入ったからSNSもやらなきゃ」って思う必要もそんなにないと思うんです。
ただ、SNSが普及していると、発信していたらいつどこで誰に見つけてもらえるかわからないというのはありますよね。
私の場合は、去年(2020年)の年末にTwitterで「来年こそ変わりたい」っていう動画を上げたら、テレビのイメチェン企画に呼んでもらえた、ということがありました。スタッフさんが私の投稿を偶然見ていたらしくて。

だいぶ変わった投稿でしたよね(笑)。でも、そこから「今夜くらべてみました」(日本テレビ系列)でのイメチェン企画の出演につながったんですよね。
「元スター子役だけど地味な自分に悩んでいる」ということで、髪型や服やメイクなどをプロデュースしてもらって、恩人である樹下監督に会いに行くという内容で、話題になりました。
いろいろ発信していると、たまたまそうやって見つけてもらえることもある。でも、きっかけになったTwitterの投稿は、まさかテレビであんな企画になることを狙ってはいないですよね(笑)。

まったく狙ってないです。マネージャーさんからは「SNSの発信はなるだけ仕事に繋がるようにして」って言われるんですけど(笑)。
私は基本的に「気が向いたときに投稿しよう」ぐらいの感じです。自分が「楽しい」と思えることを、楽しい時にやるのがいいと思うんです。「毎日投稿しなきゃ」とか思うとしんどいじゃないですか。

しんどいですね。

個人的には、見てくれている人に暇つぶしになって、「ハハッ」て笑えるぐらいになってればいいなと思っているんです。
SNSで投稿する前には「この文章で伝わるかな」とかはすごく悩むんですけど、でもファンの方に「こないだ星蘭ちゃんが言ってたこと思い出したんだけど、こういうのがおすすめだよ」とか言ってもらえて、そういうふうに輪が広がっていくのがいいなって思います。
色んな人に見てもらいたいとか、こんなことを共有したいってことがあるなら、それを自分なりに発信できる方法を見つけていくのは本当にいいことだと思うんですね。SNSはその手段の一部なのかなって。

小林さんはSNSの投稿をひとつするのにすごく時間をかけて考えるそうですが、でも楽しみながらできているのだそう。

小林さんがSNSでの発信で個人的にここは気をつけようと思っていることって、あったりします?

いい面だけ見せようとしない」ってことですかね。逆に「自分の顔のこういうところが嫌で……」とか、そういうことを共有したりすると、「星蘭ちゃんでもそういうふうに考えることあるんだ」って共感してもらえたりして、見てくれてる人とちょっと距離が近づいたりとか、SNSのそういうところは好きなんです。それによって自分らしさとかが、もっと出ると思うし。

自分らしさ、ですか。

最近、SNSで「多様性」って言葉をよく目にするんです。でも私は特に、友達とかとしゃべっているときも、はっきり「自分はこう思うんだけど」って言えずに、人に合わせちゃうタイプなんです。
SNSをやっていると、いろんな人の意見をたくさん目にしますよね。それこそ「人としてこうしてなきゃいけない」とか、「男の子らしい」「女の子らしい」とか、「子どもらしく」「大人らしく」とか、そういう枠組みに囚われて、自分の意見を言わないままでいると、自分らしさがどんどん失われていっちゃうのがイヤだなって思ったんです。
たとえば「芸能人だったらSNSでの写真はおしゃれでキラキラして当然だ」、みたいな固定観念とかありますよね。

たしかに、そう思ってしまいがちです。

そういう「芸能人らしく」みたいなのがいらないなって思ったんです。
私はこれまで自分がハマっていることとかって発信しなかったんですけど、自分は自分なんだから、それを隠すよりも、「私はアイドルが好き」とか、そういう話もするようになりました。それと、自分が「嫌だな」って思ってるコンプレックスだったりを共有したりしたほうが、より「自分らしさ」がもっと出てきて、人それぞれの色がより出てきて、何かその方が世の中が明るいような気がしていて。

なるほど。

それによってぶつかることもあるかもしれないですけど、最近って「見たくないこと」を自分の意思で避けることもできるので、「イヤだな」って思ったら逃げてもいいですし。
だったら自分の好きなこととか、自分らしさを、もっと共有できたらいいなって思って。

高校生活とこれからの芸能活動について

ちなみにいま小林さんは高校生ですけど、芸能活動と勉強との両立って大変じゃないですか?

私はあんまり参考にはならないとは思うんですけど(笑)、放課後にお仕事に行くことがほとんどなので、勉強する時間はすごいあるってわけじゃないですし、ホントにやる気が湧いた時にしかできないタイプなんですよ。
だから移動してるときに動画で勉強したりとか、あとはそもそもあんまり勉強の習慣がついてないので、結局テスト前のギリギリになって「ヤバいヤバい、やってない……」ってなりながら、必死に詰め込んだりしてます(笑)。

ここまでは現役高校生とは思えない仕事への熱い取り組みの話が多かったですが、勉強に関してはそうでもない!?

むしろすごく平均的な高校生な気がしますけど(笑)。でも、学校に行きながら芸能活動もやるって、時間の使い方がすごく難しいんじゃないかなって。

それはすごい難しいです。学校は朝から3時半、4時ぐらいまであって、放課後にお仕事に行って、帰ってきてお風呂入ってご飯食べて……気づいたら10時、11時になっちゃってます。私は本当に体力がないのでいつも気力勝負で、夜型でもあるので勉強するときは夜にする、って感じですね。

けっこう大変だ……!

でもスマホでSNSとか見るのが好きなんで、ついそれで時間を使っちゃいます……。でも5〜6時間ぐらいは寝てるかな。私は6時間取れれば最低限かなってぐらいに思ってます。

今後は、たとえば高校卒業して進路をどうしようとかって、考えたりするんですか?

今、すごい悩んでるんですよね。私のやりたいことは将来もこのお仕事を続けることなので、お仕事に活かせることを勉強するのがいいかなと思っていて。
でも、まだ決めきれていないんです。外国語の勉強もいいし、演技をしっかり身に着ける専門学校に行くのもいいですし……いろんな広い分野をいっぺんに学ぶのが下手なので、もしかしたらこのまま行くかもしれないですし。

なるほど。でも「芸能活動を続けていく」というところは、軸としてあるんですね。

そうですね。やっぱり一番長く続けられていることで、本当に自分にとっても一番大事なので、多分ずっと続けていくと思います。

ちなみに最後にこれは定番の質問なんですが、「これから挑戦していきたいこと」について聞かせてください。

いまは声優のお仕事をやらせてもらえていて、「プリキュアがやりたい」ということはずっと言っているんですが、できたらいいなと思います。
でも私はホントに「なんでもやりたい」と思っているんです。歌やナレーションもやりたいし、ドラマやバラエティも出られるなら出たいし、舞台もやりたいし、ラジオで番組を持てたらいいなと思うんです。
SNSでも今はTwitter、Instagram、ブログをやっていますけど、見てくださってる方で「TikTokもやってほしい」「YouTubeも見たい」と言ってくださる方もけっこういて、余裕ができれば少しそういうものもやってみたいなとは思います。

ありがとうございます。今日お話を伺って思ったのは、小林さんは相当、お仕事が好きなんだなということでした(笑)。

(笑)そうですね、はい。

俳優・声優のお仕事の違い、生活と仕事の両立、そしてSNSとの向き合い方まで、いろいろお話を伺えてよかったです。小林さん、ありがとうございました!

小林星蘭さんが頬杖をついてこちらを見ている画像

 この「テアトルロード」では、普段はなかなか知る機会のない「芸能」の世界のことや、「表現力」にまつわるノウハウ、そしてテアトルアカデミーの教育に関する情報を発信しています。よろしければまた見に来ていただければ幸いです!

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(取材・構成:中野慧/撮影:中田智章)