新しくなったテアトルアカデミーは、これからどう変わっていくの?担当者にズバリ訊きました

新しくなったテアトルアカデミーは、これからどう変わっていくの?担当者にズバリ訊きました

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 テアトルアカデミーはこの春、ロゴデザインの変更と公式ホームページをリニューアルするとともに、育成スタイルを大幅に刷新しました。今回はリニューアルに携わった神野弘督・母袋直哉の2人に、その背景と意図を詳しく訊きました。

 テアトルアカデミーに入所を検討中の方、そして在籍者の皆さんはぜひ参考にしてみてください!

神野弘督(じんの・こうすけ)=写真左

運営部育成課 兼 業務課 兼 横浜校 係長

2016年テアトルアカデミー入社。 主に幼児~中学生を中心としたタレントの育成を担当し、現在は、東京校をはじめとする関東近郊校(横浜校・大宮校・柏校)の育成業務を担当しながら、2018年の『新社屋オープニングイベント』など、さまざまなプロジェクトの企画・運営に携わっている。
落ち着きがなく、よく怪我をする幼少期を経て、学生時代は野球や陸上などに打ち込み汗を流した。好きな匂いは「白檀」などお寺のような匂い。

母袋直哉(もたい・なおや)=写真右

運営企画本部 兼 オンライン管理課 兼 営業部BATTEKI事務局 係長

テアトルアカデミー入社直後より、マネージャーとしてドラマや教育番組を担当。小学2年よりダンススクールに通い、高校時代は全国大会に出場するなど、自身の豊富なダンス経験から所属アーティストの振付を行うことも。仙台校勤務時には営業マネージャーとして現場を担当しながら、アイドル育成にも携わる。
現在の部署では、イベント・ワークショップの企画実施のほか、『BATTEKI!!』、『ON-LABO』などの新規プロジェクト立ち上げにも携わっている。30歳を迎えたことをきっかけに自身の腹囲について再考、昨年10月よりダイエットを開始。好きなオレンジジュースはバヤリース。

40年の歴史で初めての大幅リニューアル、その意図は?

この春、テアトルアカデミーは公式ホームページをリニューアルし、育成スタイルも刷新しましたよね。今回は「なぜ変えたのか」「どう変わったのか」を、入所検討者や在籍者によりわかりやすく伝えるべく、リニューアルに中心的に携わった神野さん、母袋さんに詳しくお話を伺いたいと思います。まず、今回のリニューアルの意図は何だったんでしょうか?

革新性」を打ち出したい、というのが一番大きな理由です。テアトルアカデミーは芸能事務所・養成所としてすでに40年以上の歴史があります。この間に子どもたちを取り巻く環境も社会の状況も大きく変化しました。私たちもそこに対応し、在籍者へのより充実したレッスン環境の提供を目指しました。

ここまで大幅なリニューアルは初の試みだったのですべてが手探り状態でした。社員間でも様々な意見が出たので、全員が納得感のある一つの方向性に固め、さらに在籍者や講師に理解してもらえるように説明する作業には、時間もかかり苦労しましたね。

エリアやコ―スごとの状況を把握したうえで仕組みを検討するためには、各エリアや他部署・チームとの打ち合わせや調整が必要でした。部署やチームを超えた社員と1つの目標に向かって仕事を行うのはやりがいがありましたが、通常の業務との調整が大変で…。でも、動き出した今では、本当にいい経験で楽しかったと思えるようになりました(笑)。

タレント育成、芸能マネジメントに続いて「CREATIVE」が三本目の柱になったのはなぜ?

これまで確立されてきたやり方を変えるのはなかなか大変だと思います。ホームページもパンフレットも、これまでの赤・白を基調としたものから、紫をメインに使ったものにガラッと変わりましたね。

新しくなったホームページのファーストビュー。

>>新しくなったテアトルアカデミーのホームページはこちらへ<<

テアトルアカデミーはこれまで赤色を多く使用していましたが、背景色として青も使っていたので、その2つを混ぜ合わせた紫を選びました。紫という色には「革新性」とともに「安心感」のイメージがあります。革新と伝統の融合、というイメージですね。
各部署や制作チームそれぞれに伝えたい魅力はたくさんあったのですが、詰め込みすぎると「どこを見たらよいか」が分からなくなってしまうので、ユーザビリティーを考えコンテンツの取捨選択をしていく作業が必要でした。意見の食い違いもあり、何度もブレストを繰り返してようやく現在のサイトが完成したんです。

ロゴもスタイリッシュなものへと変わりましたね。

このロゴは「THEATRE ACADEMY」の「E」が横の三本線になっているんです。これには、これから「PRODUCTION」「TRAINING」「CREATIVE」という3つの柱を打ち出していきたい、という意図を込めました。真ん中の行の「E」が上にあがっているのは、「在籍者一人ひとりがタレントとして成長していってほしい」という願いも込められています

今回新しく生まれたテアトルアカデミーのロゴ。

その三本柱について伺いたいのですが、芸能マネジメント=「PRODUCTION」、芸能育成=「TRAINING」の2つは、これまでのテアトルのイメージ通りですよね。ここに新しく「CREATIVE」という要素が加わったのはなぜですか?

テアトルアカデミーが掲げる三本柱「PRODUCTION」「TRAINING」「CREATIVE」。

これは自社制作で映像番組、舞台、アニメーション、YouTube動画等を作っていく、ということなんです。映像作品だと特に、放送局や制作会社、映画会社といったクライアントからキャスティングされます。でもこれからは、テアトル自体が自分たちで在籍者の出演機会を増やしていきたいわけです。

自社制作でコンテンツを作っていくというのは、お客さんにとって面白いものになっていないといけないので、クオリティも求められそうですよね。

はい、自社制作と言ってもクオリティが非常に大事になってきます。これまで培ってきた番組プロデューサーやディレクターの方たちとのつながりを上手く活かしながら、同時に在籍者たちに「あの作品に出たい」と思ってもらえるようなものにしていきます。

テアトルは幼児番組の制作等に関わった実績もありますが、私たちの強みは子役だけでなく若者からシニア世代まで幅広い年齢層の在籍者がいることなので、今後は大人世代の在籍者に目標としてもらえるようなコンテンツを開発していく予定です。
それも見据えて「CREATIVE」を三本目の柱にしました。

直系プロダクションの構造を明確にした狙い、期待したい効果

テアトルの直系プロダクション(芸能事務所機能)の関係も、今回すっきりと図でまとめられました。テアトルアカデミーに入って、そこからだんだん上を目指していくという構図が示されていますよね。

プロダクションの系列図。「テアトルエンターテインメント」を頂点とする、ピラミッド構造になっている。

テアトルアカデミーの直系プロダクションはいくつかありますが、テアトルに入って何をどうすれば、どこのプロダクションに所属できるのかが明確ではなかったんです。その構造を、誰にでもわかりやすく明確化しようというのが狙いです。

プロダクションの所属を目指す在籍者が、より目指しやすい体制としました。テアトルアカデミーでレッスンを受けて、出演機会を得て実績を積むと、「テアトルアカデミープロダクション」もしくは「テアトルRUIプロダクション」に所属できます。専属マネージャーはついていませんが、レッスンを受講しながら所属することのできるプロダクションです。

その上に、「アットプロダクション」という事務所があって、仕事実績が豊富で、専属マネージャーが営業を行うタレントが所属するプロダクションです。さらにその上に、昨年2021年10月に新設した鈴木福などが所属する「テアトルエンターテインメント」というプロダクションがあります。
テアトルアカデミーで基礎を作ってだんだん上を目指していってほしい。それをメッセージとして伝わりやすくするために今回こうしてプロダクションの構造を明確にしました。

年代別クラス分けの再編成――小学校3年生・高校3年生に区切りを設けた理由とは?

では次に新育成スタイルについて教えてください。これまでは大まかに幼児、小学生、中学生、高校生~30代、40代以上というふうにクラスが分かれていたと思います。それを今回は年齢の区分けの方法を変えて、新しいカテゴリも作ったわけですよね。

以前は赤ちゃん、幼児~中学生、高校生~39歳まで、40歳以上、という4つのカテゴリでした。それが今回は①ベビー=0歳〜2.6歳頃、②キッズ=2.6歳頃〜年中、③ジュニア=年長〜小学3年生、④ユース=小学4年生〜高校3年生、⑤アカデミー=18歳〜39歳、⑥シニア=40歳以上と、カテゴリが6つに増えています。

各クラスの年代分けと、目標となるスキルの概要図。

大きな変更点としては③ジュニア(年長〜小学3年生)という区切りができて、これまでは18歳以上の大人と一緒にレッスンを受講していた高校生が新たに小学4年生〜中学生と一緒になって④ユースというカテゴリに組み入れられているわけですよね。一般的な小学校6年生、中学3年生という区切りとは違うところに区切りを入れた理由は何だったのでしょうか?

そもそも今は青少年期の過ごし方が多様化しているので、必ずしも日本の学校制度に合わせる必要はないのでは、という意見が社内で出ていたんです。学校生活が大きく変化すると同時にレッスン環境も変わるというのは、子どもたちの負担も大きいですよね。
そこで、各年代で訪れる受験という人生の大きな転機とは異なるタイミングとすることで、学業とテアトルアカデミーの活動を両立しやすくしようと考え、今回の区切りになったんです。

子どもの発達段階を考えても、たとえば小学校3年生ぐらいまでは「親に言われたから」と来ているケースも多いですし、保護者の方と一緒に台本を読んだりしてサポートしてもらえます。撮影現場でも小学3年生と、4年生以上では扱われ方に違いがある場合もあったりするんです。
3年生以下なら「子どもだし、まあいいか」と多目に見てもらえることもありますが、小学4年生以上になってくると、自分で台本を理解して、演技に落とし込むことが必要になってきます。

自立心、自主性が必要になってくる時期なわけですね。

小学校4年生というのは子どもが一番変わっていくタイミングなんです。中学受験をする場合は塾も始まったり、自分の将来を少しずつ真剣に考え始めるんですよね。

テアトルの在籍者は、中学受験をする子も多いですよね。

これまで、中学受験の勉強とのバランスが取れなくなって芸能活動を諦めてしまうケースは間々あったんです。でも私たちは、実は「表現をする」というのは子どもたちの将来を切り拓く上でとても役に立つものだ、とも思っているんです。

面接で人前で話したり、自分の考えをプレゼンしたり…いわゆるコミュニケーション能力ですね。でも、世間で言うところのコミュニケーション能力は、「自分をアピールする」ということに偏っている傾向はあるかもしれませんね。

ええ、「自分のことをアピールする」だけではなく、「自分以外の誰かの気持ちを受け止めて、その上で対話ができるようになる」ということも、同じかそれ以上に大事なんです。その意味で演技は、たとえば台本から登場人物の心情を正確に読解したり、監督から指摘があったときにその意味を正確に受け止める力を養うことができますよね。
もっとも私たちは「芸能のお仕事のスキルを高める」ということにフォーカスしているので、必ずしも「演技はコミュニケーション能力を高めるためにやるものです」と言っているわけではありませんが、「そういう側面もあるよ」という伝え方はしていますね(※1)。

※1:コミュニケーション能力と演技の関係については、教育家・小川大介先生のインタビュー記事でも触れられています。よろしければ参考までに、ぜひご覧ください。→「演じた数だけ、子どもは強くなる」芸能教育が子育てにもたらすメリットとは?教育家・小川大介先生に聞いてみた

なるほど。年代別クラス編成のもうひとつの変化として、これまでは成人と一緒に受講していた高校生年代が、小学校4年生〜中学生と一緒になって「ユース」というカテゴリになったわけですよね。これにはどういう意図があるんですか?

現場目線で言えば、中学生と高校生は同じ「学生」という括りになることが多いため、ユースでは中高生が一緒になって刺激しあって、現場に挑んでいってほしいなと思っています。

私たちとしては高校生まではしっかりレッスンに取り組んで基礎を固めて、この先、より本格的にこのお仕事を継続していくための期間にして欲しい。そういったメッセージも込める意味で、今回の再編を行いました。

オンラインレッスンの拡充、その背景は?

今回の改定では、オンラインレッスンの充実もひとつ特徴的な要素になっていますよね。

テアトルに入ったら基本的には「総合コース」でさまざまなジャンルを横断的に学んで基礎力をつけてもらいます。そこにプラスアルファで、さらに学びたい人のために「専門コース」というオンラインレッスンのみの講座を設けました。
専門コースには大きく分けて2つあって、ON-LABOというアーティスト育成コース、それとテアトルプラスという俳優・タレント、声優、クリエイター専門のコースがあります。小学校4年生以上、つまりユース以上の所属者であればそれらを受講することができるので、大きく選択肢が広がります。

テアトルは全国に10拠点ありますが、エリアによっては「歌のレッスンがない」「殺陣のレッスンがない」など、地域によって選択レッスン内容が異なっていたというケースもありました。でも、オンラインを活用すれば他の地域の講師がレッスンを行うことができるので、地域により選択レッスンの内容が異なるということがなくなります。

今回、新しい育成スタイルを考えるにあたって会社としては「統一」ということを一番のテーマにしていました。年代や住んでいる場所に関係なく同じサービスが受けられるようにしたい、ということですね。

今回、オンラインレッスンが本格的に教育プログラムに盛り込まれた。さらに通常レッスンにプラスアルファする「プライムレッスン」も。

オンラインレッスンと並んで「プライムレッスン」というものがありますが、これはどんなものなんでしょうか?

プライムレッスンは、総合コースで受講できるレッスンにプラスアルファで受講できるレッスンで、「対面」「オンライン」で様々なジャンルのレッスンを揃えました。
「普段のレッスンと違うジャンルにチャレンジしたい!」「もっと技術を磨きたい!」などといった方々はさらに選択肢を広げることができます。

今後もさらに学びたい人のためにレッスンジャンルや内容を増やしていく予定です。

子どもの発達段階によって重視するポイントが変わる

ここからはホームページでもまとめられている各年代の概要と、重視している点について、解説していただきたいと思います。まずはベビー(0〜2.6歳頃)はいかがでしょうか。

ベビーは保護者の関わりが一番大きいクラスなので、「子育てを楽しく」ということを重視していますね。テアトルに通っていただければ、おうちや保育園、公園などとは別の場所で親子の絆を育むことができて、講師やスタッフをはじめ、普段接しない大人と関わる機会があります。そういった部分を大事にしたい、ということですね。

続いて、キッズ(2.6歳〜年中)はいかがでしょう。

このぐらいの時期から「毎週何曜日はテアトルでレッスンをやるんだ」ということで、レッスンが生活の一部になっていきます。この時期に一番大事なのは「楽しい」「また来たい」「やりたい」と思ってもらえること。そう思えるようなレッスンを組んでいますね。

ジュニア(年長〜小学3年生)はどうでしょうか。

年長になってくると台本を読んでいくことが求められますので、そこではやはり「自分以外の人の気持ちを理解する」「相手の気持ちに寄り添う」が重要なんです。レッスンで取り扱う内容の一部は、小学生が国語の授業でやるような「主人公の気持ちを考えてみよう」というものに近いかもしれませんね。

この年代は、適性もありますが、保護者の方の関わり方も大事だったりするんです。レッスンの課題を一緒にやったり、色んな経験や感情を体験させたりしてレッスンや台本のイメージをつかめるようにしてあげてほしいです。

オーディションに参加するようになると、受かったり落ちたりを経験するので、子どもと大人で一緒に取り組んだ結果が見えやすいんです。これは学校や他の習い事では経験できない貴重な経験になるんじゃないかなと思います。
もっとも、オーディションって単純な実力だけではなくて、役に合わなかったり監督やプロデューサーの希望とずれていたときには落ちてしまうので、結果を気にしすぎないのも大事ですけどね(※2)。

※2:オーディションの際の心構えについては、鈴木福さんと平成仮面ライダーシリーズの白倉伸一郎・武部直美プロデューサーの鼎談記事に参考になる話が掲載されています!→白倉伸一郎・武部直美と鈴木福が語る平成仮面ライダー「創業秘話」(2) ゼロ年代の「若手俳優の登竜門」化、そして『ゼンカイジャー』へ | テアトルロード

若者〜大人世代の課題は「自分らしさを伸ばす」「自我の足枷を外す」

では次にユース(小学4年生〜高校3年生)はいかがでしょうか。

この時期は何といっても自分の行きたい方向性を考えていくことが重要になるので、「自分らしさを見つけて伸ばす」がキーワードになりますね。

ユースは小4から高3までと幅広いので各年代で課題となることは少し異なりますが、大きくはやはり「自分らしさ」をどう考えるか、ですね。

アカデミー(18歳〜39歳)については、いかがでしょう。

ここは「テレビや舞台、声優や音楽などを職業にしてやっていきたい」という方が集まる年代なので、「着実なスキルの向上」「専門性」 「高度な知識」がカギになっていきます(※3)。
いまテレビや映画で活躍中の俳優・タレントさんとまさに同世代で、その「芸能界のど真ん中」を目指して頑張っていかないといけないですからね。

※3:ユース〜アカデミークラス在籍者に当たる10〜20代をどう過ごすか? については、在籍者で活躍中のお二人に聞いた記事も公開しています。→元子役が「俳優」になるってどういうこと?映画・ドラマで活躍中の原舞歌・白石拳大に聞く“10代の過ごし方” | テアトルロード

そして最後に、40歳以上のシニアですね。

シニアクラスの在籍者は「若いときに憧れていた芸能に、もう一度チャレンジしてみたい」という方が多いですね。レッスンでは「久しぶりに人からしっかり指導を受けた」という感想を聞くことがよくあります。

テアトルアカデミーの講師陣の「厳しさ」のお話は、これまでの「テアトルロード」の取材でもよく出てきました。(※4)

※4:これまでにシニアクラスでドラマやCMなどで活躍中の在籍者へのインタビューは2つ公開しています。男性、女性でもそれぞれ感じ方は違うようです。下記がその2つの記事へのリンクです。

芸能界を目指すのに早い・遅いは関係ない?働きながら芸能の世界に足を踏み出した二人の男性の物語 | テアトルロード
芸能の仕事は「出会うはずのなかったものに出会える」――39歳で芸能活動を始め、ドラマやCMで活躍中の兼平由佳理さんにインタビューしました。 | テアトルロード

そうですよね(笑)。大人になって、ある程度のポジションになっていくと「誰かに指導される」という経験をあまりしなくなるので、テアトルのレッスンでごく普通に行われている指導が新鮮に感じられるみたいですね。

先生方がシニアの皆さんを決してお客さん扱いせずに、真剣に向き合うのはなぜなんでしょう? なかなか勇気の要ることかなと思うのですが。

当たり前ですけど、シニアの年代の方には「やらされてやってる人」はいないので、真剣に来ている方には真剣に向き合う、ということですね。それともうひとつは、やっぱりテアトルの看板を背負って現場に出てもらう以上、「現場で通用する人」になってもらわないといけないので。

うちの看板を背負って現場に出てもらう以上、中途半端では困ります。だからこそ、先生方も真剣に教えてくださっているんです。

テアトルはどの年代でも徹底してやっていることですが、シニアでもまず挨拶から教えます。なので、習い事感覚で来られてしまうと愕然とするかもしれないですね。

大人になるといい意味でも悪い意味でも、自我が確立されていますよね。でも、演技のときはその自我の強固さが、逆に足枷になってしまうと聞きます。

「役を演じる」というのは「自分とまったく違う人になる」ということですよね。それができていなかったときに、監督さん指摘を受けたときに、指摘をきちんと受け止めて自分の演技を修正できるかはとても大事なんです。もっとも、他の年代と比べるとシニアの皆さんが一番楽しんでやっているようにも思うんです。

若い年代の所属者どうしの場合だと、他の人と仲良くなったりはするけれど、どこかライバル意識があるというか…。当然、役には限りがありますし、プロとしての意識は持っていてほしいですけど…。その意味ではたしかに、シニアの皆さんが実は全年代の中で一番、楽しんでやっている方が多いかもしれないですね。それは演技や表現に携わる以上は、とても大事な感覚な気がしますね。

なるほど。「プロとしてやっていく」という意識と同時に、「楽しむ」という部分もバランスが大事なんですね。それはどの年代でも本質的なところかと思います。
厳しさと楽しさを両方味わいながらやっていくと、スキルの上でも人生全体の豊かさの上でも、得られるものがより大きくなる気がします。そういった考えの上で、これからテアトルや在籍者のみなさんがどう変わっていくのかは、楽しみですね。お二人とも、今日はありがとうございました!

テアトルアカデミー 新ホームページはこちら。

>>テアトルアカデミー ホームページ<<

上記のお話を踏まえて見ていただくと、より理解が深まると思いますので、ぜひこの記事を参考に見てみてください!

(聞き手・構成=中野慧/テアトルロード編集部)