総合芸能学院テアトルアカデミーに入学したら、どんな講義が受けられるの?
そんな疑問にお答えするべく、この「テアトルロード」では、テアトルアカデミー(以下、テアトル)が擁する一流講師陣の方々をお招きし、普段の講義の一端が垣間見えるような、講義連載をやっています。
演技や歌唱からYouTubeまで、様々な「表現」にまつわる記事を連載していますが、今週は「ダンス」の講師を務める青木サトミ先生の連載・第5回です。
青木先生の連載初回では、「NiziUに学ぶケンケン運動の重要性」、第2回は「ダンスの表現力を高めるために、なぜ『体のやわらかさ』が大事なの?」、第3回は「体幹の重要性と鍛え方」、第4回では「リズム感を養うための“音の聞き方”」を教わってきました。
【第1回】ステイホーム期間はNiziUで踊ろう! 親子でかんたんケンケン体操
【第2回】「体がかたいと表現力の高いダンスはできない」!? おうち時間に取り入れたい3つのストレッチ
【第3回】BTSみたいなキレキレダンスができるようになりたい!そのために必要な「体幹」の鍛え方
【第4回】ダンスのリズム感を養うには何から始めればいい?ダンス講師・青木サトミ先生に、初心者にもできる練習法を教えてもらいました
第5回となる今回は、いよいよダンスの基本となる動きを教えてもらおうと思います。一番のお手本は、昨年から大ヒット中の”あの曲”にある――? というわけで、今回もいってみましょう!
※記事の内容は公開時点のものです
ジャンルを超えて基本になる「アイソレーション」って?
この連載ももう5回めになりました。今回は少し踏み込んで、「ダンスをするなら、まずはできるようになっておきたい動き」というのを教えてもらえれば、と思います!
ダンスにもいろいろなジャンルがいろいろありますが、共通して基本になるようなものはあるんでしょうか?
なるほど、それなら「アイソレーション」のお話がいいかもしれませんね。
おぉ、聞き慣れない言葉です。
体の各部分を別々に動かすことです。わかりやすくいうと、ベリーダンスを想像してみてください。肩や胸は止まっているのに首だけ、あるいは腰だけがすごく動いていますよね。
あっ、それはわかります。ベリーダンスといえば、という動きだ。あれはアイソレーションというんですね。
アイソレーションは、ジャズダンスのクラスでもヒップホップダンスのクラスでも共通して教えます。首だけをスライドさせたり、胸だけをラウンドさせたりという動きは日常生活にないじゃないですか。
たしかに、ダンスでしか見ない動きです。いま青木先生にやってみせてもらって、バカみたいな感想ですが「めっちゃダンサーっぽい!」と思いました(笑)。
そうですよね(笑)。未就学児のクラスで、ピースをしながらお尻を右、右、右と振る動きを教えたときに、できない子が多かったんです。
原因として、以前お話したように膝の後ろや股関節がかたいからというのもあるんですが、そもそも腰だけ動かすって普段の生活でやらないんですよね。ダンスをやっていない人からすればどうしたらいいかわからないから、お母さんたちも自宅での練習を手伝うのが難しい、という話があって。
では今回はぜひそこを教えてください!
頭だけ動かしたかったら、腕を伸ばして頭の上で合わせて、最初は耳を腕に近づける練習から始めるといいですね。では、実際に動いてみましょうか。
生活の中で「鏡を見る→練習する」習慣をつくろう!
すごくわかりやすいです。「最初は1センチでも良いから正しく動かすところから始める」といわれると、挑戦してみようかな? と思えます。
動画でも言いましたが、練習するときは必ず鏡を見ながらやりましょう。でないと、自分ができてるかどうかわからなくなっちゃうので。
できているつもりになって間違った反復練習をしても、効果がないですもんね。
毎日、鏡を見るタイミングってあるじゃないですか。そのときにすかさず練習するのを習慣にするといいと思います。「よし、練習するぞ!」と集中して時間をとるのが難しいときもありますから。
顔洗ってアイソレーション、歯を磨いてアイソレーション。
いいですね(笑)、まさに。
自分の体を自由自在に動かすって、慣れの部分が大きいんです。それこそDREAMS COME TRUEの吉田美和さんなんか、歌いながら首を動かしてますよね。
やってますね! あれを見ると、リズムに乗っていて楽しそうだな、と思います。
そうそう。グルーヴが伝わってくるんです。
NCT U『Make a wish』はかっこいいアイソレーションが満載
ちなみに、最近のアイドルやアーティストで、アイソレーションを使っていて印象的だったダンスというと何か思い浮かびますか?
少し前になりますが、NCT Uの『Make a wish』はサビにアイソレーションの動きを多用していました。SMエンターテインメントのボーイズグループで、ショウタロウ君という19歳の日本人メンバーがいるんですが、その子の首の動きがすごかったです。
本当だ、サビの部分でまさにアイソレーションをしてますね。基本的な技術でありながら、ここまで格好良く見せられるんですね、すごい……。
ただ首を動かしてるだけでも格好良くキマってしまってるんです。すごいですよね。レッスンでも、中学生の男の子がこの曲を知っていて動きをマネていました。
ちなみに、このダンスは当時19歳の日本人の女の子が振り付けをしてます。
そうなんですね。振り付けというのも、ダンス素人にとってはどうやってつくられているのかわからないところです。振りのひとつひとつに意味があるわけですよね?
そうですね。その部分を理解して意識することが、ダンスの上達に深くつながってきます。次回はその話をしましょうか。
よろしくお願いします!
「ダンスならでは」の動きを教えてもらって、一気に難易度が上がったように感じられるかもしれません。でも、毎日繰り返すことで少しずつ身になっていくという意味では、ストレッチや体幹トレーニングと同じ……何事も一日にしてならず、ですね。
さて、青木先生の連載は次回で最終回。最後はダンスの“真髄”を教えてもらいます!
文・取材・編集=テアトルロード編集部/撮影=荒川潤