【動画あり】「体がかたいと表現力の高いダンスはできない」!? おうち時間に取り入れたい3つのストレッチ(講師:青木サトミ先生)

連載コラム

 総合芸能学院テアトルアカデミーに入学したら、どんな講義が受けられるの?

 ……読者の皆様には、そんな疑問をお持ちの方々も多いのではないでしょうか。

 そこで「テアトルロード」では、テアトルアカデミーが擁する、第一線で活躍する一流講師陣の方々をお招きして、講義の内容の一端が伺えるようなお話を編集部が聞いていくという、週替わりの月間連載をやっています。

 そんな連載のトップバッターを飾っていただいたのは、ダンスの講師をしている青木サトミ先生。「親子で簡単! ステイホーム体操」と題して、前回はNiziUの人気曲『Make you happy』での「ケンケン運動」を教えてもらいました。

【動画あり】ステイホーム期間はNiziUで踊ろう! 親子でかんたんケンケン体操(講師:青木サトミ先生) | テアトルロード

 家の中にこもりがちなこの時期。今回も、親子で楽しくできる体操を教えてもらおうと思います!

※記事の内容は公開時点のものです

青木サトミ(あおき・さとみ)イメージ写真

青木サトミ(あおき・さとみ)

東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校卒業。東京ディズニーシー、フライングパフォーマーとして出演。テアトルアカデミーのダンス講師歴は10年以上。踊る楽しさだけでなく、表現者としての体作り、心の在り方を伝えている。幼稚部から大人まで幅広く担当する。

体がかたいと、表現力の高いダンスはできない!?

前回は「ダンスがうまくなるためにはケンケン、そしてスキップができるようになることが大事」というお話でした。おうちでできる体操として、他にはどんなものがよいでしょうか。

やっぱりストレッチですかね。私はテアトルでもう15年ぐらい教えているんですけど、昔の子どもが簡単にできていたことが、最近の子だとできないことが多くなっていると感じています。そもそも子どもって「体がやわらかい」というイメージないですか?

確かに、ありますね。

でも、たとえば「長座(両足を揃えて前に伸ばして座ること)してつま先をつかむ」って、子どもだったら簡単にできることだと思っていたんですけど、意外に届かない子がいたりします。

子どもたちの「やわらかさ」が失われつつあることに危機感を感じている、という青木先生。

なるほど。ダンスをする上では、やっぱり体がかたいとあまりよくないんですか……?

そうですね。体がかたい=体の可動域が狭いということなんですが、たとえば手を高く上げる動きをしようとしてもそこまで上がらなかったり、足を高く上げられなかったり、ということになっちゃいます。

ふむふむ、確かに。

表現力という面でも、体がかたい子って肘も膝も曲がらないので、踊りに硬さが出てしまうんです。ロボットというか、操り人形のようなぎこちない動きになってしまう。やわらかい子だと全身を大きく使えるので、そこでダンスの表現力にかなり差が出てきてしまいます。やっぱり体は大きく使えたほうがいいと思いますね。

うーむ、「体がやわらかい」ってそういうことなんですね。

気になるのは「膝の後ろがかたい」「まっすぐ立てない」

ニュースでも「子どもたちの運動能力が低下している」というのはよく言われます。青木先生が子どもたちにダンスを教えるなかで、特に運動能力で気になっているのはどんなことでしょう?

「膝の後ろがかたい」というのはけっこう気になりますね。子どもって内股になりがちで、開脚してストレッチしたときにも内股になってしまう。ダンスの観点からすると、膝もつま先も上を向いた状態で体が倒せるといいんですけどね。これは膝の後ろがかたいことによって起こります。

それと、「まっすぐ立ってみて」と言っても、うまくできない子が多いですね。何か少し傾いていたり、肩が中に入っちゃっていたり。筋力も少し不足しているのかもしれません。

ちなみに、そうなってしまっている原因って何なんでしょう……?

生活様式が変わってきているのかもしれないですね。昔みたいに外を駆け回ったり、公園の鉄棒とか雲梯で遊んだりというよりも、家の中にいることが多くなっていると思うので……。

今はコロナもあって、ますますその傾向が加速していそうです。

逆に聞いてみたいんですけど、大人でデスクワークのお仕事をされている方たちって、ふだんストレッチはするんですか?

……うーん、ほとんど座りっぱなしで、あまり動いてないと思います。体に対して意識の高い人はヨガをやったりしていますけれど、まだまだ少数派かもしれません。

今は子どもも大人も大運動不足時代。どげんかせんといかん、ということかもしれません。

そうですよね。テアトルで子どもたちに教えていても思うのですが、週に一回ここに来てストレッチするだけだとぜったいやわらかくならないんですよ。できれば毎日やることが大事で、半年ぐらい続けてみたらちゃんと成果が見えます。子どもも大人も、ぜひおうちで「毎日ストレッチ」に取り組んでみてほしいですね。

おうち時間に取り入れたい3つのストレッチって?

具体的には、どんなストレッチをしたらよいでしょうか?

先ほども言いましたが、私は「膝の後ろがかたい・伸びない」というのがどうしても気になるんです(笑)。膝の後ろが伸びると、開脚したときに足がきれいに伸びるようになる。だから、まずは膝を伸ばさせたい。

ストレッチで一番ポピュラーなのって、開脚して体が前にペタンって倒れるやつですよね。でもその「開脚ペタン」も、膝の後ろがかたいとできないんですよ。

「膝の後ろがかたい」というのは、開脚にも影響することなのだそう。

なるほど。どうしたら「膝の後ろ」をやわらかくできるんでしょう……?

まず一番目に、床に座って足を伸ばし、つま先をしっかり上に向けて手で持って、自分の方に引っ張るストレッチですね。手がつま先に届かないときは、タオルを補助に使ってもいいです。

タオルの補助があれば、どれだけ体がかたい人でも始められそうですね。

二番目にやってほしいのは、座って両足のかかとをつけて股関節を開きつつ、背中・胸を張って、骨盤を立てて、前に倒れていく。これは股関節をやわらかくするストレッチです。

これもポピュラーなストレッチですが、ついつい上半身を曲げてしまいますね。でも、腰から上の上半身はまっすぐ保って、それで前に倒れていくのが大事なんですね。

そうですね。そして最後、三番目に開脚です。ここでの注意点として、膝が内側に入らないように、膝のお皿が上を向いたままでできるようにしてほしいと思います。子どもが一人でやるのが難しい場合は、保護者の方が補助に入って、ストッパーをやってあげてほしいですね。ではいま言った3つを、実際にやってみましょうか。

はい! では、動画を回させていただきます!

ありがとうございました。ちなみに青木先生は日常生活でどういうふうにストレッチを取り入れているんでしょうか?

座布団の上で股関節を開いたり、足の裏をくっつけてバタバタさせながら、テレビを観たりご飯を食べたりしてますね。
電車に立って乗っているときには少しガニ股にして、内ももをキュッて締めたりもしています。あとは、電子レンジでチンするあいだの30秒くらいずっとつま先立ちしてたりとか。ちょっとしたときにストレッチや筋トレの動きを入れてたりしますね。

なるほど……スキマ時間に続けてみるのはありですね。今はコロナでみんな運動不足になっていますが、大人の人は特にストレッチが足りていなさそうです。

おうちにいるときに一番やりやすいのはやっぱりストレッチ。やってみると意外と気持ちいいので、ぜひ子どもも大人も、日常生活のなかに取り入れてみてほしいなと思います。

 というわけで今回は青木先生に、日常生活に取り入れたいストレッチについて教えていただきました。「週一回だとあまり変わらないけれど、毎日少しずつでも続けられたら変わる!」とのこと。ちょっとした時間に取り入れていけたらよさそうですね。ぜひみなさんも、動画も参考にしながら、実際に体を動かしてみていただければと思います。

 さて、そして次回のテーマは「体幹」です! 果たしてどんなお話が飛び出すのでしょうか。お楽しみに!

(文・取材・編集=テアトルロード編集部/撮影=荒川潤)